先日の友人との会話の一部です。
私 :『昨日は、どんな会場でセミナーを受けてきたのかな?』
相手:『○○○という会場だよ。部屋は思ったより広かったよ。』
私 :『へぇ、そうなんだね。君が入った部屋は、どんな感じだった?』
相手:『どんな感じって・・・・床は、グレーのタイルカーペットで、
壁は、概ね白いんだけど、ところどころワンポイントに違う色が入っていたね。』
私 :『ほぉほぉ、それからどんな感じだった?』
相手:『天井も白くて、照明が割と多く付いていたな』
さて、皆さんは、この友人の話を聞いて、部屋のイメージが湧いたでしょうか?
多分、こんな感じかなと思ったかもしれませんし、
人によっては、具体的なイメージは湧かない人もいたかもしれません。
そして、本当に友人が言ったような部屋だったのでしょうか?
実は、私は、友人が入った部屋に以前入ったことがありました。
ですから、部屋の様子は分かっていたのです。
床は、確かにタイルカーペットでしたが、もう少し具体的に言うと、グレーであるけれど、
まばらな模様が入っていて、そのまばらな模様は、少し白かったり、あるいは、濃いグレーだったり・・・
グレー系のまばら模様が沢山入り交じったタイルカーペットで、グレー一色ではないのです。
私がその部屋に入ったときに、敢えてその場所に居た人たちに『この床って何色に見えますか?』と
問い掛けてみると、ある人は『ライトグレーかな』と言ったり、別の人は『まばらなグレーかな』と
言ってみたり・・・人により表現がバラバラでした。
壁は・・・と、ここで具体的に壁の様子を説明するのは省略しますが、
友人が見た実際の床は、彼が言葉で説明した内容とは少し違うというか、実は多くのことが省略されているのです。
彼は、床はグレーと一言で説明しましたが、彼の印象では、グレー一色だったのでしょう。
しかし、実際は、違っているのです。
実は、その人が見たものを、言葉で100%説明することは、かなり難しいのです。
理由は、その人の主観が入るからです。
同時に、その人の感覚で捉えたものを言葉で説明するときは、多くの事柄が省略されるからです。
人が感覚で捉えたものを『感覚地図』と呼ぶことにしましょう。
そして、言葉として発すると、それが『言語地図』となります。
この『感覚地図』と『言語地図』には、割と大きな隔たりがあるのです。
綺麗な海の景色を見た人は、人によっては、『綺麗な海だったよ』と説明する人もいれば、
『透き通った青い海で綺麗だったよ』と説明する人もいるでしょう。
その人がどれだけ詳しく海の様子を言葉で説明しても、
極論で言えば、実際の海の様子を表現することは、かなり難しいのです。
それは、多くのことが省略されているからなのです。
そのときに写真などを見せて説明してもらえば、見ている側もその実際の様子が分かるでしょう。
百聞は一見に如かず・・・・まさにこれです。
人の発する言葉には、多くの内容が省略(削除)されているのです。