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会話の中でのコーチング

あるときの私と私の甥っ子(仮称:武とします)の会話です。
ちなみに、そのときの甥っ子は証券会社に就職して4年目の青年でした。

私:「ねぇねぇ、武さぁ、将来、どうなりたいの? どんな人生を送りたい?」
武:「え? そうだなぁ・・・充実した人生を送りたいかな」
私:「ほぉ~、充実した人生か。それ、良いよね。私も充実した人生を送りたいと思うよ。
  でさぁ、私が思っている充実と武が思っている充実って同じじゃないと思うからさ、武が言った充実という
  中身をもっと詳しく教えてくれない?」

大抵の場合、人は、自分が口から出た言葉の意味について聞かれたときは、何も抵抗せずに、その意味の答えを探しにいく傾向があります。
人から言われた言葉ならば、考えることに抵抗感を持ちますが、自分の内側から出てきた言葉には、何も抵抗せずに、その具体的な意味を探りにいくのです。

武:「え??? う~~ん・・・充実した人生はねぇ・・・」

武:「仕事をいつでも休みたいときに休めることと・・・」
私:「ほぉ~、仕事をいつでも休みたいときに休めることか」
武:「うん」
私:「良いねぇ。他には??」
武:「え、他には?? そうだなぁ・・・あ、好きなものをいつでも買える人生」
私:「好きなものをいつでも買える人生か! 良いねぇ。他にはある?」
武:「他??」

このときの甥っ子は、腕を組みながら首を少し傾け、顔は下に向いたり、時折、天井を見たり、また下を向いたり・・・その繰り返しでしたが、真剣に自分の内側にある答えを探しに行っている感じでした。

武:「好きな場所で思いっきり仕事が出来ていることかな」

具体的に3つ出てきましたが、言っている途中から甥っ子の表情は、徐々に笑顔へと変化していました。
人は、自分の心の中に在るものに気付くと嬉しくなるようです。
まるで宝物を見つけ出したように。

私:「好きな場所で思いっきり仕事が出来ることかぁ・・・素敵だねぇ」

甥っ子の言葉を復唱して、簡単な感想を述べます。
それは、君の言葉をしっかりと受け取ったよという合図にもなるのです。
同時に、自分の評価や判断は脇に置いて聞くことも大切です。

人は、抽象的な言葉を使うことが多いです。
例えば、今回のように「充実した」という言葉です。
聞いている側は相手から出てきた抽象的な言葉を、あたかも相手の言わんとしている意味をまるで完璧に分かったかのように受け取る傾向があります。
あなたの「充実」と私の「充実」がまるで同じ内容であるかのように。

相手の抽象的な言葉の具体的な中身を聞くことは、実は、簡単なコーチングになります。
コーチングの効果は、相手の中に気付きが起きることなのです。

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